4層構造による性格論(3)

 

性格の核となる「気質」「生まれつきの部分」です。前回、気質のほとんどは遺伝子によって決められており、残りの僅かな部分が胎児時代に形成されたと推測されていることを書きました。この生まれつきの性格である「気質」は生涯変わることはありません。また、変えることもできません。

気質に深く関わっているのは、コレシストキニン(CCK)という神経伝達物質を合成する遺伝子であることがわかっています。その遺伝子の配列の違いが、個人の気質に大いに影響を及ぼしているといいます。今後、気質に対する塩基配列の影響が詳しく解明されていくことで、遺伝子診断にも応用されてゆくでしょう。

たとえば、塩基配列の暗号文字が「C(シトシン)」でかかれている人と「T(チミン)」でかかれている人に分かれていることが判明しており、その比率が約6対4であること
もわかっています。

「C(シトシン)」の暗号と「T(チミン)」の暗号とでは神経細胞からのドーパミンの分泌量に違いがあり、それによって気質の差ができるというわけです。

「C(シトシン)」・・・「損傷回避性」が低い
   楽観的傾向・ストレスを受けにくい・開放的・精力的

「T(チミン)」・・・「損傷回避性」が高い
   悲観的傾向・ストレスを受けやすい・危険に対し敏感・疲れやすい


ちなみに、現時点において米国精神医学会では、気質の分類として次の4種が挙げられています。

1. 好奇心の強弱「新奇追求性」
2. 尻込み・慎重さの程度「損傷回避性」
3 .世間体を気にする度合い「報酬依存性」
4. しつこさの程度「固執」

これはあくまでも統計的な傾向性を示したもので、個々人によって差があります。先に分類された気質ありきで、そこへ自分を当てはめるのは本末転倒です。あくまでも傾向性の目安として考えていただきたいと思います。


次は「生まれてからの環境によって形成される部分」の性格についてです。(つづく)