病院とカウンセリングの違い 

 

人の健康には3種類あります。

 

身体的なもの(フィジカル)、精神的なもの(メンタル)、人間的なもの(スピリチュアリティ)です。

 

心療内科や精神科では、主にフィジカルメンタルを扱いますが、カウンセリングでは、フィジカル、メンタル、スピリチュアリティの3つ全てを扱い、人としての変容と成熟を目指します。

 

ここでのスピリチュアリティとは、霊的な行為という意味ではなく、クライエントさんの人間観や世界観に関するもので、性格やリソース(問題解決能力や健康性)に深く関わるところです。

 

カウンセリングでは、この3つの健康を改善するためのシナリオを相談者の方と一緒に考えてゆきます。


 

●病院(精神科・心療内科)の役割・カウンセリングの役割

病院の精神科とカウンセリングを同じように考えていらっしゃる方も少なくありません。

 

病院の精神科・心療内科では、医学的治療を行います。

 

精神科医は脳という臓器の専門家で、その仕事は患者さんの脳の機能を薬を使用して正常に戻すこと。

 

精神科医は問診を行い、患者さんの脳という臓器に対して診断をくだします。

そして、臓器が適切に機能するための薬を処方します。

 

精神科医が患者さんの悩みを聞くのは、その症状を知り適切な診断をくだすためです。

心を病んだ患者さんの悩みの相談にのるということはありません。

 

あくまでも精神科医の対象は患者さんの脳の機能であって、患者さんの心情や、性格、環境などはほとんど関係ありません。

 

もちろん、何処の世界にも例外はつきもので、親身になって話を聴いてくださる精神科医も

いらっしゃいます。

 

一方カウンセリングでは

 

当然のことながら、医学的治療は行えません。

したがって、診断をくだすことも、薬を処方することもできません。

 

では何をするかといいますと

 

カウンセラーは、クライエントさんの話しを聴くことが基本の仕事です。

 

それは診断のためのものではなく、クライエントさんの訴えを、より深く理解するために行われます。

 

カウンセリングは『援助的人間関係』といわれます。

その『援助』の意味は、クライエントさん一人一人によって異なります。

 

それは、その人に最も適した技法や心理療法も含め

 

”ただひたすらクライエントさんの話しを聴くこと”であったり

”お互いに積極的に話し合うこと”であったり

”問題解決のための新たな行動を提案すること”であったり

”カウンセラーの経験を話すこと”であったり

”適切な判断のもと行政機関や医療機関を勧めること”であったり・・

 

『援助』といっても、さまざまな関わり方があります。

 

クライエントさんが困っていること、苦痛や不安を感じていること、に対して

 

少しでも解決(回復)のために役立つように機能するのが

カウンセラーの役割です。

 

そうした、信頼関係に基づいたコミュニケーションによって、

最終的には「必ずお読みください」で述べた

クライエントさんの「行動の変容」を目指します。

 

 

そうはいっても、常々思うのは、いくらカウンセラーに経験や知識、理論、技法があったとしても決してそれだけではないということです。

 

経験、知識、理論、技法はもちろんのこと、それを補い、

最終的にカウンセリングの最も大きな支えになるのが

 

クライエントさんとカウンセラーとの『信頼関係』

 

なのだと思います。

 

そのためにはまず、カウンセラーはクライエントさんと

『信頼関係』を築くことに専念します。

 

信頼関係によって『安心できる環境』をつくることが、深い悩みを抱えているクライエントさんに気持ちの余裕を生じさせ、問題に取り組む意欲を高めることにつながるのです。

 

 

●お薬について

カウンセリングを受ける前に、クライエントさんにお薬の服用の有無、服用の場合はその種類についてお尋ねしています。

 

これは、薬を服用しているからお申し込みをお断りするということではありません。

 

薬の服用の有無にこだわらず、カウンセリングをお受けしております。

 

精神科や心療内科で処方される薬は、直接脳へ働きかけることが多く、ひとそれぞれに薬との相性があります。

 

ときには副作用としての症状が出る場合もあるので、念のために、服用している方のお薬の情報を知っておきたいのです。