地球上にたったひとり

乱暴な言い方をすれば、心理学や精神医学の世界は、反証可能性の極めて低い、科学ではなく統計学に近いものです。

 

現在、精神疾患の診断基準は、アメリカ精神医学会のDSM-5と、世界保健機関 WHOのICD-11(改訂11-日本は翻訳中)の二つに基づいています。

個々の医師の勘に頼ることの多い診断に代わり、世界の共通認識となり得る、客観的症状に基づく判断基準ができたことは、精神医学の進歩発展に大きく寄与した功績です。

同時に、人の心はそのような診断基準だけでは計れない、底知れぬ深淵であることも証明されているわけです。

 

というわけで、かかった精神科医の数だけ診断名がついている、というケースが今もって普通に存在しているのは致し方のないところかもしれません。

 

問い:次の文章を読み、〇〇に入る言葉を選べ

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心の領域を扱う精神医学や心理学は、いくら研究が進んでも、常に相当の割合で診断基準に当て嵌まらない例外が存在する、わりと〇〇学問領域と言えます。

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(a ホラーな b たくさんの匙が必要な c 泥縄式  

d 愛と勇気の   e 美味しい  f 当たるも八卦的な )

 


心理学者ブライアン・R・リトル教授は、著作「ハーバードの心理学講義」のなかで、世界的文化人類学者の文献から次の言葉を引用しています。

 

あなたは、全ての人に似ていて、ある種の人と似ていて、誰とも似ていない存在です。

 

 

脳神経科学では、成人しても自己の活動や心的経験に応じて、脳が自らのシステムや機能を変える性質『脳の可塑性』があることを明らかにしました。

それに連動して、最新のパーソナリティ心理学では「パーソナリティは変えることができる」という視点に立つ、さまざまな研究が行われています。

 

すでに’ヒトは遺伝的なパーソナリティを超えて自分を変化させることができる’’という前提に立っているわけです。

遺伝や環境がパーソナリティに及ぼす影響云々という段階は、すでに過去のものになりつつあるのですね。

 

 

ホモ・サピエンス・サピエンスは、自分で自分を変化させることのできる、ひじょうに独自性の強い個別的な生物なのです。

 

あなたが、自分を「自分」だと

 認識している根拠はなんですか?

出来合いのラベルを貼ったままではないですか?

 

「いま」という状況のもとで、簡単に自分を規定してほしくないのです。