カウンセラーとセラピーの違い

カウンセリングって何?と聞かれた場合、今の私なら次のように答えます。

 

「人間関係をベースとして行われる作業」

 

現代科学の特徴は、「研究する現象(対象)」と「研究者」との関係性を断絶するところで成り立っています。それによって客観性が保たれ、個人を超えた普遍性をもつことができるからです。それが科学の圧倒的強みでもあるわけです。

 

したがって、臨床心理学もできるだけそのパラダイムに添わなければ、といろいろ模索してきたわけですが、個人を超えた普遍性を目指すにはどうしても無理が生じます。科学的であろうとすればする程、かえってうさんくさくなってしまう。

 

カウンセラーとクライエントの相互性によって生じる心の変容は、科学的にパターン化できないことを認めざるを得ないからです。人と人との交流に発生する、理論を超えた予測不能のコミュニケーション ミラクルは、確かに存在します。

 

人との関係性で生じた問題は、人との関係性によってしか解決できない。

 

人間だもの・・・  byみつを?

 

カウンセラーと精神科医やセラピストとの違いってなんでしょう。

 

精神科医やセラピストは、症状を消失・軽減させるための具体的な治療または物理療法・心理療法を行います。

あくまでも科学的な論理に基づいた治療行為です。したがって、治療する者とされる者という、一方通行の関係で成り立っています。

 

カウンセラーは、学校や職場、家庭生活、人間関係などの悩みや適応上の問題をもつ人に対して、心理学的な知識や経験に基づいて援助します。カウンセラーとクライエント、人間対人間の関係性によって問題解決を図ります。

したがって、解決・回復を目指す者とそれを援助する者という、双方向の関係で成り立っています。

 

精神医療やセラピーでは、主導権を握るのは精神科医及びセラピストです。

カウンセリングでは、主導権を握るのはクライエント(相談者)です。

 

よくセラピーとカウンセリングを混同される方がいますが、その内実は微妙に、場合によっては大きく異なります。

 

日本の場合、セラピーの用いる心理療法(サイコセラピー)では、無意識の領域(深層心理)を積極的に扱います。

カウンセラーも心理療法を用いますが、無意識の領域を積極的に扱うことはありません。

 

無意識の領域を扱うとは、たとえば催眠療法「ピブノセラピー」という心理療法があります。うつ病などでこれを用いると一度で回復することもあります。が、かえって著しく悪化することもあります。無意識を扱うということは、劇的な効果を得ることがあるかわりに副作用の危険もあるということです。

 

にもかかわらず、日本の場合には誰でも催眠療法士(ピブノセラピスト)を自由に名乗ることができます。本来は、催眠療法は医師が行う心理療法であるはずですが、2日〜3日で認定資格がとれるというスクールも存在しており、セラピストの技術レベルの充分な見極めが必要です。

 

精神科医やセラピストは治療やセラピーの技術さえ優れていれば、人間性は特に問われません。

 

カウンセラーは、良識と豊かな人間性が求められます。というもの、クライエントとカウンセラーの相互性に依って立つカウンセリングは、互いの信頼関係(ラポールといいます)が解決・回復のための絶対的条件であるからです。

 

そういうあなたはどうなんです?、と問われたなら、うぅ・・・精進あるのみでございます。