インナーチャイルド(内なる子ども)

内なる子ども 8
 

 インナーチャイルドの癒しと解放  

   『インナーチャイルド・セラピー』の流れ(3)

ステップ4
癒しの作業

ステップ3『嘆きの作業』によって充分な感情の吐露ができた後は、子どものときからずっと我慢してきた自分を認め、それを自分の中に改めて受け入れる作業をします。子どもらしく振る舞えなかった自分を癒してあげる作業です。

目の前に自分とまったく同じ体験をしてきた子どもを想定します。そして、その子の言い分を全て聴き、受け入れてあげますその子の立場に立ち、何の解釈や批判もない心で聴いてあげるのです。

親の存在と保護が重要だった子ども時代に、ワンダーチャイルド(ありのままの自分)を押し潰し、インナーチャイルドで過ごすしかなかった子どもの自分に話しかけます。

本当は親にしてほしかったこと、言ってほしかったことを、その子に向って語りかけます

「小さな体と心で精一杯考えて頑張ってきたね」
「明るく振る舞っていたけど、本当は寂しかったんだね」
「つらかったね、悲しかったね」
「ほめてほしかったんだね」
「大丈夫だよ、心配ないよ」
「えらいね、ちゃんと分かっているよ」
etc.

と、慰めます。

さらに、本当は親にしてほしかったことを、その子に語ってもらいます
子どもにとって理想的な親の言動とはどういうものか。

その子どもの要望を大人の自分が無条件で受け入れ、イメージの中で体現してあげるのです。
つまり自分が理想の親として振る舞ってあげる
これが『癒しの作業』です。

幼少期に体験がないと「愛情のある言葉」というのがどの様なもので、どのように声をかけるのか、自然な言葉にならない人も多いです。その場合は、グループセラピーなどで、他の人に言葉がけをしてもらうことも有効です。大切な人から愛情をもらう疑似体験をすることで、大きな癒しが行われます。

しかし最も理想的なのは、本人が自分で自分のインナーチャイルドの癒し作業を行い、カウンセラーやセラピストがそれを補助するかたちでしょう。

また、どうしても上手に接することができない場合は、イメージの子どもをただ抱きしめてあげるだけでもよいのです。要するに、「安心していいよ、わかっているよ」と受け入れてあげることが大切です。

自分のなかのインナーチャイルドの気持ちを認められない場合や、インナーチャイルドの感情を充分に吐露できていない場合は、なかなかこの癒し作業ができません。

それは、インナーチャイルドの感情を無視しているか、あるいは親をかばう気持ちから、未だにインナーチャイルドに我慢を強いているため、「真の自分」と「しばりに囚われている自分」が断絶状態にあるからです。それほど、過去からの「しばり」が強固ということでしょう。

こうした場合には、ステップ1の「機能不全家族であるとの認識」に戻り、ゆっくりと防衛規制をはずしながら自分の心の傷に気付くことが必要です。

そして冷静に「今、ここ」を見つめてみます。今現在の生きづらさをつくりだしている、子どもの頃に担わざるを得なかった「しばり」「信念」にもとづく行動を、これからもずっと続ける必要があるのかを。