インナーチャイルド(内なる子ども)

内なる子ども 7 

  

インナーチャイルドの癒しと解放  

  『インナーチャイルド・セラピー』の流れ(2) 

インナーチャイルド・セラピーとは、自分の心の中の傷ついた内なる子ども「インナーチャイルド」に会いに行き、その傷ついた感情を解放するのを手助けし、癒してあげるためのセラピーです。

ステップ1で、自分が機能不全家族という環境の中で育ったことを自覚したら、ステップ2で、幼少期から現在までもち続け、自分を苦しめる枷となっている「シバリ」「信念」、そのための「行動」に気づき、それを認めます。

次にステップ3で『嘆きの作業』を行います。

ステップ3
嘆きの作業

ステップ3以降は、信頼できるカウンセラーやセラピストとともに行うことが望ましいです。

◆ 安全な場所の確保
ありのままの感情を思う存分に吐露し、肯定も否定もされずに受け入れ、共有してくれる場所で行います。
安全な場所の確保がなぜ必要かというと、誰にも気を遣わず全てを受け入れてもらえる空間でないと、この作業が充分に達成できないからです。

◆ 嘆きの作業
子どもの頃に抑えてきた本当の気持ちを充分に吐き出します。
この作業は、幼い頃から自分の心の中に封印し、今まで言えなかったこと、出せなかった感情、できなかった行動を「今、ここ」で吐き出します。

たとえば、
両親の仲が悪く、家庭にいつも緊張感が漂っている
          ↓
子どもなりに精一杯、両親の機嫌を良くしようと
常に親の顔色をうかがい、気を遣っていた
          ↓
自分の寂しさ悲しさといった自然な気持ちを抑え、
明るくしっかり者の良い子を演じる
          ↓ 
辛くても苦しくても表に出さず、人に迷惑をかけたり
頼ってはいけない、という「しばり」「信念」
          ↓
大人になっても、人に頼ることなく、仕事や家庭を
完璧にこなそうと、ひとりで全てを抱え込む
結果、心身にいろいろな症状が出るまで無理をしてしまう



「今、ここ」であのときの子どもの自分に返って、甘えたくても甘えられず、悲しくて寂しくて辛かった気持ちを吐き出します。親に言えずに心にしまっていた気持ちを、今、ここでインナーチャイルドに会っている自分に訴えます。

少しでも、しょうがなかったと言い訳したり、親の立場をかばったり、今更思い出しても仕方ないと諦めたりすると、インナーチャイルドは一度も自分の気持ちをわかってもらえないままとなります。

本来子どもは、、思い切り甘えたり、わがままを言ったり、無邪気ないたずらをしたり、ときどき叱られながらも、ありのままに思う存分自由に振る舞い、子ども時代を謳歌して生きることが自然なのです。

分別のついた大人である自分なら簡単に対応できることでも、子どもは大人のように理解する必要もないし、できなくてあたりまえです。それなのに、そのあたりまえを奪われたまま子ども時代を過ごすしかなかったのです。

一人では生きていけない無力な子どもにとって、親(自分にとって最も重要な大人)の存在は、絶対的なものです。その親に、無視されたり嫌われたり捨てられてしまうのではないかという、常に不安や恐怖のある家庭では、子どもはありのままの自分を出すことはできなかったのです。

「今、ここ」で、少しでも気持ちをごまかしたり抑圧したままで、感情の放出が中途半端であると、時間の経過とともに、また必要のない「しばり」や「信念が」再燃します。

セラピーでは、抑圧していた怒りや悲しみが強ければ、思い切りそれを発散させます。そのために、とことん怒り、泣くことが必要です。子どものように泣きわめいてもよいのです。

カウンサラーやセラピストはクライエントさんの心に寄り添い、たとえばぬいぐるみやクッションに向って叫んでもらう、雑誌を破いてもらう、画用紙に殴り書きをしてもらう、というように全身で感情を爆発させるお手伝いをします。

そして、クライエントさんの上手く表現できない傷ついたインナーチャイルドの気持ちをすくい取り、言葉にしにくいことや、遠慮していることを代弁し、感情吐露の援助を行います。

もちろん、クライエントさんとカウンセラー・セラピストとの信頼関係が充分に築かれていることが前提です。