インナーチャイルド(内なる子ども)

内なる子ども3

 

子ども時代に自分で引き受けた「役割」は、自由なはずの心を繋ぎ留め、大人になっても外すことのできない枷となっていることもある。
それが自覚できないままに心の「しばり」となって、生きづらさの原因となる場合も多い。

  ◆ 人と一緒にいるとリラックスできない
  ◆ 周囲に気を遣いすぎて自分の気持ちを自由に表現できない
  ◆ 人に共感できず、ひんぱんに人間関係の問題が発生する
  ◆ 人の責任まで自分で背負いこんでしまい、心身ともにクタ
    クタになる
  ◆ 常に自分が存在していることに不安や罪悪感を抱いている
  ◆ あらゆることに自信がもてず極端に自己評価が低い
  ◆ 何事にもあきらめの気持ちが先に立ってしまう
  ◆ 親の願望を達成することが自分の願望のようにすり替わ
           り、苦しくてもひたすら努力する
  ◆ 常に心の奥底に怒りや不安を抱えており、些細なきっかけ
           でキレやすい etc.

以上のような生きづらさを感じている人は、「子どもの頃の主観」に返って、昔の自分の家族を振り返ってみると良い。

「子どもの自分」はどのような家庭で育ってきたのか?

大人の自分や親の立場で解釈するのではなく、子どもの心のままに、どのような気持ちを抱いて過ごしていたかを思い返してみる。すると見えてくるものがあるかもしれない。


<機能不全家族の2つのケース>


子どもにとっての「無条件で愛情が与えられ、安心できる場所」から著しく逸脱し、大人に成長してからも社会生活に支障をきたす程の要因となってしまう家庭を表す『機能不全家族』という概念がある。

その『機能不全家族』を大きく2つのケースに分ける。


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機能不全家族 ケース1. 
家族のメンバーに肉体的、精神的に虐待され続け、自己肯定感を全く得られない家庭

「お前は何をやっても駄目な子」「お前など生まなければよかった」というような無条件のマイナス ストロークをいろいろなかたちで受け続けたか、もしくは無視されることでストロークの無い状態が続いた家庭。

機能不全家族 ケース2. 
家庭内のメンバー同士が仲が悪く、家族が何かしらの問題を抱えており、常に冷たい空気や緊張感が漂っている家庭

与えられるのは「〇〇でければ認めない」という条件付きのストローク。子どもは親を満足させるために、常に家族に気を配り、大人の役割を担わなければならない場合が多い。つまり、子どもが子どもらしく振る舞うことのできない家庭。

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ケース1の家庭では、子どもは何をしても、ほとんど自分の存在を全否定される状況で過ごすことが多い。それでもそんな環境で過ごさなければならない子どもは、なるべく自分を押し殺し、表面上は波風立てぬように、うまくやり過ごすことに長けていく。

したがって、親の顔色を読み取るための能力は磨かれ、感受性は鋭く敏感になってゆく。また、大人になっても常に自分の存在に対して罪悪感や不安感を抱いている。心の空虚感をうめるため、一定のもの(飲酒、ギャンブル、買い物、仕事、恋愛)で満たそうとし、『依存症』に発展してゆくことも多い。

また、自己愛や自尊心が健全に育たず、自分へも他者へも、世の中へもNoという心が形成され、心身ともにぼろぼろとなって自己破壊的な行為や自殺へのプロセスをたどることもある。

ケース2の家庭では、子どもは常に親からゴールを設定され、それをクリアすればプラスのストロークがもらえる、というように育てられる。

条件付きのストロークをもらうための努力がいつしか心に深く浸透し、指示されなくても、親が喜ぶであろう自分の姿を察し、そのためにどんなに苦しくても努力し頑張ってゆく。

親から見れば、勉強の成績もよく人の面倒見もよい、一見よくできた手のかからない子どもであることも多い。しかし子どもにしてみれば、いつしか自分の本当にやりたいことを抑圧し、親の願望が自分の願望であるかのような錯覚に陥ってゆく。

自分の気持ちを犠牲にしてまでも「〇〇のために頑張らなくては認められない」という信念は、その後の人生においても、その信念を繰り返し確認できるような環境を無意識に引き寄せてしまう。つまり、自分を犠牲にしてまで「誰かのために頑張らなければならない」という共依存』を誘発する。